歌舞伎町のミュージカル「We will Rock You」

PIC_queenずんずっちゃ、ずんずっちゃ・・・。その音は天井から降ってきた。新宿歌舞伎町のシアターアプル。とある公演の前説で、苦笑しながら演出家が言った。「リハ、始まってます。静かなシーンに限って聞こえてくるんですよ。ずんずっちゃ、ずんずっちゃ・・・。今から言っておきます。力関係ってものがあります。申し訳ないです」そんなぁ、いくらなんでも聞こえてくる訳が・・・あった。

高校時代、初めて聴いた「キラー・クイーン」に圧倒された。フレディ・マーキュリーの音域の広さ、劇的な曲の構成。「すっげぇ・・・」その思いは「ボヘミアン・ラプソディ」で一層強くなり、彼らが音楽を担当した「フラッシュ・ゴードン」というB級SF映画も観てしまった。(これが実に面白かった)そして、そのクイーンの楽曲を元にしたミュージカルがロンドンでヒットしていると聞き、さらには日本公演があると知った。ブライアン・メイとロジャー・テイラーがアバのミュージカル「マンマ・ミーア」にリスペクトされて作ったという・・・これは、絶対に行かねば。

ストーリーは陳腐で単純。展開も冗長。一幕、二幕とも10分づつ短くすれば良かったのに。ちっ、スラングが分かったら面白いんだろうな。字幕のスクリーンはちょっとどうよ。・・・でも、楽しかった。そんな能書きは全てぶっ飛ぶ。「ボヘミアン・ラプソディ」の前奏が流れた瞬間に涙が出そうになってしまった。ラストの10分とアンコールのためだけにもう一度観に行っても良いかもしれない。ミュージカルというより、コンサートのノリ。客席でもビールが飲める♪(高いけど)コマ劇場というハコの大きさも気にならない。スタンディング・オベーションはお付き合いではなく、素直に立ち上がった。

「ずんずっちゃっ、ずんずっちゃっ」・・・見終わってしばらく、後遺症が残ってしまった。「We will Rock You」のリズムとメロディがリフレインして止まらない。・・・これは、スラングが溢れ活気に満ちた、混沌の新宿歌舞伎町に似合ったミュージカルかもしれない。

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